50代から増える歯周病・かむ力の低下が全身に影響する理由
体力・筋力の低下、記憶力の低下――50代になると、こうした変化を「年齢のせい」と片づけてしまいがちです。しかし、その背景には口腔内の健康が関わっている可能性があります。
今回は、50代からの健康を支えるために欠かせない口腔内の健康と全身の関係についてわかりやすく解説します。
かむ力と栄養不足:フレイルへの入り口
かむ力は年齢とともに少しずつ弱くなります。かむ力が落ちてくると、硬い食材を避けるようになり、必要な栄養が不足しやすくなります。たとえば、かみにくさから硬い肉や魚を控えるようになると、筋肉の材料となるたんぱく質が不足しがちです。たんぱく質が足りない状態が続くと、筋肉量の低下や体重減少につながり、いわゆるフレイルへの入り口になります。
このように、口の健康が保たれているかどうかは、食事の質を通して全身のコンディションに大きく影響します。
歯周病と生活習慣病:50代で半数近くが歯周ポケット4mm以上
歯周病は口の中だけの問題と思われがちですが、実は全身の健康とも深く関わっています。歯茎の炎症や細菌が血管を通じて広がることで、血糖コントロールや血管の健康に影響する可能性があります。
歯周病の可能性が高いとされる状態、歯茎と歯のすき間(歯周ポケット)が4㎜以上ある人、歯茎からの出血がある人は、年齢とともに増える傾向にあります。なんと50代では約半数にのぼります。ちょうどこの年代は生活習慣病を指摘される人も増える時期なので、口の中の炎症が続くとからだへの負担が重なりやすくなります。
だからこそ、毎日の歯磨きやフロスなどのセルフケアに加えて、定期的に歯科受診をすることが大切です。
50代のうちから口腔ケアを意識することが、生活習慣病の予防にもつながります。
口の機能と認知症リスク:かむことが脳を刺激する
口腔内の状態が認知機能にも関わることがわかってきています。
実際に東北大学大学院歯学研究科の研究では、歯の本数が減っている状態、食べ物をしっかりかむことが難しい状態、唾液が減って口の中が乾きやすい状態が認知症リスクの上昇と関連することが示唆されました。
かむ刺激が脳の活性化につながるほか、口の機能が保たれていることは会話や食事、外出など日常の活動を支え、結果として認知機能の維持にもつながると考えられます。
まとめ
50代は、口腔ケアが全身の健康を支える大切な時期です。日々のセルフケアに加えて、定期的な歯科受診も習慣にしていきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 50代になるとかむ力が低下するのはなぜですか?
かむ力は年齢とともに少しずつ弱くなります。かむ力が落ちると硬い食材を避けるようになり、筋肉の材料となるたんぱく質が不足しがちになります。たんぱく質が足りない状態が続くと、筋肉量の低下や体重減少につながり、フレイルへの入り口になる可能性があります。
Q2. かむ力の低下が全身の衰えにつながるのはなぜですか?
かむ力が落ちると食事の選択肢が狭まり、必要な栄養が不足しやすくなります。口の健康が保たれているかどうかは、食事の質を通して全身のコンディションに大きく影響します。
Q3. 歯周病と生活習慣病はどのように関係していますか?
歯茎の炎症や細菌が血管を通じて広がることで、血糖コントロールや血管の健康に影響する可能性があります。50代では歯周ポケットが4mm以上ある人や歯茎からの出血がある人が約半数にのぼり、ちょうど生活習慣病を指摘される人も増える時期であるため、口の中の炎症が続くとからだへの負担が重なりやすくなります。
Q4. 50代で歯周病になっている人はどのくらいいますか?
歯周ポケットが4mm以上ある人や歯茎からの出血がある人は年齢とともに増える傾向にあり、50代では約半数にのぼります。
Q5. 口腔内の状態が認知機能に影響するのはなぜですか?
かむ刺激が脳の活性化につながるほか、口の機能が保たれていることは会話や食事、外出など日常の活動を支え、認知機能の維持にもつながると考えられています。東北大学大学院歯学研究科の研究では、歯の本数が減っている状態、かむことが難しい状態、口が乾きやすい状態が認知症リスクの上昇と関連することが示唆されています。
Q6. 50代からの口腔ケアとして何をすればいいですか?
毎日の歯磨きやフロスなどのセルフケアに加えて、定期的な歯科受診を習慣にすることが大切です。口の健康を整えることは、生活習慣病の予防や認知機能の維持など全身の健康を守ることにもつながります。
<参考>
・ 厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査結果の概要」
・ Taro Kusama、Kenji Takeuchi、Sakura Kiuchi、Jun Aida、Ken Osaka「Poor oral health and dementia risk under time-varying confounding: A cohort study based on marginal structural models 」(『Journal of the American Geriatrics Society』2024年3月72(3)729~741)
・ 厚生労働省健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「口腔機能の健康への影響」